これ弾いてみましょう
かつて中野二郎先生はご自身が指揮する団体で、毎回新しく編曲した曲を何曲もお持ちになり、どんどん新しい作品を練習されたそうです。中野先生は岡村光玉さんや石村隆行先生がイタリアで一生懸命探し出したマンドリンの為の膨大な作品の報告を聞いて「私は氷山の一角しか知らなかった」と仰ったそうです。あの中野先生をしてそう言わしめた程、私たちの知らない作品が沢山眠っています。
また武井守成編纂の「マンドリン・ギター研究」等を読むと、大正から昭和初期にかけての本邦のマンドリン界の上演曲は、新しい作品をいかにして発見し、取り寄せて発表するかの努力の連続であった事がわかります。新しい作品に触れる事は無上の喜びだったでしょう。
毎年の定期演奏会で約10曲程度弾いたとして、20年やってもせいぜい200曲程度にしかなりません。
武井男爵が命がけで守った「武井音楽文庫」、中野先生が日々の生活を削ってまで集め続けた「中野譜庫」、そうした日本にしか存在しない音楽遺産を風化させない為にも、私たちは出来る限り多くの作品を演奏してみたいと考えています。
そうして2019年から定期演奏会の作品以外の曲も少人数でも演奏が出来る曲も取り入れて、出来る限り毎回の練習であれこれ弾いてみようと「これ弾いてみましょう」(現「これ弾く」)を始めました。
本来、演奏する曲は「楽譜」を目で見て選ぶものですが、なかなか目に触れる機会が少ない方も多いでしょうから「音」としても記録して、人目につきやすいYoutubeにupしています。1曲あたり30分程度で仕上げて録音していますからお世辞にも立派な演奏ではありませんが、埋もれてしまった佳曲たちに、もう一度光をあててあげて蘇らせてあげたいのです。
1年間で十数曲程度にしかならないかも知れませんが、それでも定期演奏会の練習だけでは得られない、新たな作品との出会いを楽しみながら続けていきたいと思っています。
演奏の記録はYoutubeチャンネルでお聴きください。
R.クレブス : コンコルディア・マーチ Concordia, Marsch
G.ボルツォーニ/G.F.ポーリ : 野趣 Semplicita Campestre, Op.171
平井朗 : 舞踊風モスラ対ゴジラ Reloaded!
G.マネンテ : 五時の紅茶 Five o'clock tea, Valse Brillante
S.ジェンティーレ : 即興曲 Improvviso
C.コレッタ : 優雅な仮面 Mascherine Eleganti
B.ビルリ : 祈り Invocazione, Op.469
J.シベリウス/小穴雄一編 : 祝祭アンダンテ Andante Festivo
U.ボッタッキアリ : アヒルのフォックストロット Fox-trot delle Anitre
F.アモローゾ/石村隆行 : 田園風牧歌 Idillio Campestre
F.スコンツォ : 水彩画「鶴は飛び立つ」 Partone le Gru
U.ジョルダーノ/小穴雄一編 : 歌劇「フェドーラ」間奏曲 Fedora, Intermezzo
M.ヴィカーリ : 舟歌「青春」Gioventù, Barcarola
M.バッチ : マドリガル「遥かな幻影」 Visioni lontane
A.サボーヤ : 夜想曲「静寂」 Calma...
A.アマデイ : ギャロップ「飛行機」Op.291 Aeroplane, Galop
U.ピッツィ : 幻想曲「クリスマス」Christmas
中野二郎編 : きよしこの夜
A.フェラーリス : ウクライナの印象
S.サルヴェッティ : 宗教的コラール「乙女たちの祈り」
C.A.ブラッコ : 無言詩
G.マネンテ:海のセレナータ
S.サルヴェッティ:マンドリン讃歌「シンプレックス」
D.クライドラー:ルンバ
遠藤秀安編:ディズニーメドレー
A.クラーセンス:チャルダッシュ「トカイ」
D.ベッルーティ:マズルカ「カーニバルの真珠」
V.ケッシ:ロマンス「微風」